今回は
アナログ作家とデジタル作家の違いについて書いていきたいと思います。

マンガ家と言えば皆さんはどういう感じの仕事体系を想像するでしょうか?

ケント紙とインクにつけペン、レギュラーアシスタントを数人抱え
締め切り前にはヘルプアシスタントさんさんにも来てもらって
スクリーントーンを人海戦術で貼っていく。

こういった現場をテレビなどのマンガ家の特集で
見たことがある人は多いのではないでしょうか?

今のマンガ家がこれを皆がやっているかと言えば
NO!です!!

ここ10年くらいの間で
デジタル化がどんどん進んでいき
紙、ペン、スクリーントーンを手貼りする
アナログ作業はどんどん減ってきました。
かく言う私もフルデジタルと言われる
すべての作業をパソコンを使ってマンガを描いています。

10年位前ですと
紙にキャラペンなど背景を入れたらスキャナーで取り込み
スクリーントーンやベタなどの仕上げのみをデジタル上で
行うというのが多かったと思います。

私もその当時は同じように
アナログ作業と仕上げのみデジタル作業という風に
マンガを描いていたのですが

パソコンの性能や液晶タブレット(液タブ)の性能が上がっていくにつれ
キャラペンもデジタル上で行うようになっていきました。
昔のパソコンなどはスペック的に問題があり
キャラペンを入れるために線を引くとワンテンポ遅れて
線が引かれてしまうという現象が起こり
なかなかデジタル化に踏み切れませんでした。

しかし技術の進化というものは凄いもので
今では超有名な作家さんが
iPad Proのみでマンガを一から完成させ連載するといったことが
現代では行われております。

では、最初に書いていた
ケント紙とインクにつけペン、レギュラーアシスタントを数人抱え
締め切り前にはヘルプアシスタントさんさんにも来てもらって
スクリーントーンを人海戦術で貼っていく。
このやり方でマンガを描いている作家さんが
絶滅してしまったのかといえばそうではありません
皆さんも読んだことはあると思いますが
超有名なゴム人間の海賊のマンガなどは
昔ながらのアナログのやり方で描かれています。

ではここからは
アナログとデジタルのメリットとデメリットについて説明します。
この説明の前提としてアナログはパソコンを一切使わないフルアナログで
デジタルも全てパソコン上でマンガを描くフルデジタルということでお願いします。

アナログのメリットは何よりも安く始められることです。
基本的にケント紙と製図用インクまたは墨汁
Gペンや丸ペンなどのつけペン
あとは定規とホワイトインクとシャーペンくらいでしょうか?
トーンを貼りたい場合はそのマンガにあったスクリーントーン
このように初期投資がかなり安く始められます。

アナログのデメリットとしては
スクリーントーンなどを多く使用する場合
貼るのに時間がかかるために連載の場合は人件費がかさむことと
スクリーントーンを揃えるのに結構金額がかかってしまうということです。
あと上記の理由から連載の場合
アシスタントを雇うことが必須になってきます。
アナログの場合はアシスタントに職場や家まで来てもらって
仕事をしてもらうので部屋も余分に必要になります。

次に
デジタルのメリットです。
慣れたらめちゃくちゃ早くマンガが完成できるようになります。
アナログでは数人がかりで数時間かかっていたトーンが山盛りあるページでも
一人でしかも数人がかりでやっていた時間より早く終わってしまいます。
なぜなのか?
トーンやベタの作業が鬼のように簡単だからです!!
なんとバケツツールでワンクリックで終わります!
アナログだとベタの場合は先にフチをミリペンなどで太くして
はみ出さないように処理してから広範囲をマジックで塗るといった
面倒な作業がなんとワンクリック、一秒もかからずに終わってしまいます。
スクリーントーンも同様です。
ベタ貼りならワンクリックで終わるし
アナログの頃にとても面倒だった細かい部分もワンクリックです。
大きめにトーンを貼って範囲外を削るなんてことはしなくて良いのです。

アシスタントに関してもネットを利用することで
在宅でお仕事をしてもらうことが可能です。
余分にアシスタントさん用の部屋を用意する必要がないので
家賃的にもメリットは大きいと思います。

デジタルのデメリットとしては
初期投資が結構かかります。
パソコンと液晶タブレットとマンガを描くソフト(クリップスタジオなど)
25万~40万くらいは最初にかかるイメージです。

でも人件費やスクリーントーンなどの消耗品を無限に使用できるので
将来的には経費をおさえる事ができます。
たぶん数本マンガの仕事をすれば元を取れるんじゃないでしょうか?

あと恐ろしいのはパソコンが壊れてデータが消えてしまうなどのトラブルです。
これに関しては何重にもバックアップを取るなどして
対策を取るしかありません。

有名な作家さんから新人さんまで色々な方に話を聞いた結果
アナログ作家とデジタル作家で特徴的な差を発見することができました。

現在でもフルアナログで描かれている作家の特徴としては
昔から一線で活躍しているマンガ家さんで
有能なアナログのアシスタントさんを多く抱えており
資金もしっかりあるというものです。

その方達がアナログからデジタルに移行しない理由としては
デジタルに移行しなくても
アナログのままでやっていける環境がすでにできているからです。

一線で活躍している作家さんなので資金がしっかりあるので
アナログのアシスタントさん達をたくさん雇うことができる
アナログのアシスタントさんを雇い続ける責任もあるので
連載中にいきなりデジタル化することはできない。
移行するのはかなり大変なので。

次に
アナログ至上主義の作家さんです。
アナログが大好きな方です。
私も実は描くの自体は紙に描くアナログの方が好きです。

有名な週刊少年誌志望の若い方に多い印象です。
そりゃ自分の大好きなマンガがアナログで描かれていたら
僕も尾田先生みたいに紙とつけペンでマンガを描きたいってなりますよね。


ではデジタルの作家さんはどうなのか
以前はアナログで描いていたが連載が終了してから
デジタルに移行した作家さんや
マンガを描き始めた時からデジタルで描いているという若い作家さんです。

ちなみに以前知り合った若手の作家さんが
ずっと板タブでマンガを描いていたらしいのですが
奮発して液タブを買って作業したら
自分のペンを持っている右手がジャマで絵が見えないと言ってました。
絵が見辛いから右手の不透明度を下げたいと言っていて
これには笑ってしまいました(笑)

資金がたくさんある有名な作家さんは
アナログで続けられますが
資金がそれほどなく打ち切りなどを食らってしまう
中堅の作家さん達はデジタル移行する場合が多いと思います。
人件費と作業の効率化を考えていかないと
なかなか食べていけないからです。

雑誌によってもデジタルとアナログの作家の多さは違いがあるみたいです。
やはり週刊の少年誌などはアナログの作家さんが多いみたいですが
逆に萌え系などの4コマ雑誌などはデシタルの作家さんが大半のようです。

綺麗系を求められる萌え系はデジタル
荒々しいバトルマンガの味のあるタッチはアナログが
向いているように思います。

アナログとデジタルどちらの場合もメリットとデメリットがありますが
ここ最近の流れを見る限りですと
デジタル化の流れが優勢になっているように感じます。

アナログが厳しくなったなぁと感じる点としては
スクリーントーンが廃盤になったり
つけペンが生産中止になったりしている点です。
アナログの作家さんがデジタルに移行した理由の一部に
愛用していたスクリーントーンがどんどん廃盤になっていくので
今後のことも考えて今の内にデジタル化したというものでした。

今後、マンガ家のデジタル化はどんどん進んでいくと思います。
数年後にはタブレットのみでカフェなどでマンガを
描くのが普通になっていくのかもしれませんね。